遺産相続コラム
2026/05/19 2026/05/18

相続手続の全体像を把握しよう! スケジュールとやるべきことリスト

亡くなったら何から始める? 慌てないための「相続手続」完全ガイド

大切なご家族を亡くした悲しみの中で、すぐに取り掛からなければならないのが相続手続です。初めての経験で、「何から手を付けていいか分からない」「手続に期限があるのか不安」と感じるのは当然です。
ここでは、相続開始から完了までの全体像と、期限がある重要な手続をリスト形式で解説します。

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ステップ1:相続開始直後(目安:〜1か月以内):戸籍と財産の把握

相続が開始したら、まずは「誰が相続人か」「財産はどれくらいか」「遺言の有無」を把握します。

【やるべきことリスト】
⑴ 死亡届の提出と火葬許可証の取得(7日以内)
・通常は葬儀社が代行しますが、市区町村役場に提出し、同時に火葬許可証を受け取ります。
⑵ 法定相続人の確定のための戸籍収集
・亡くなった人(被相続人)の「出生から死亡まで」の連続した戸籍謄本をすべて集めます。これは、相続人を確定し、銀行や法務局での手続きに必ず必要になる最重要書類です。
⑶ 相続財産の洗い出し
・預金通帳、不動産の権利証、証券会社の口座、生命保険証書などを探します。
・負債(借金、ローン)がないかも調査します。
・預金の残高証明書、不動産の固定資産税評価証明書などを確認し、正確な財産目録を作成していきます。
・なお、金融機関が死亡の事実を知ると、故人の預金口座が一時的に凍結され、原則として入出金ができなくなります。電気代などの引き落としが滞らないかを確認し、必要に応じて口座を切り替える準備をします。
⑷ 遺言書の有無の確認と「検認」
・遺言書があれば、財産の分け方はその内容に従うことになりますので、遺言書の有無を必ず確認します。
・自筆の遺言書の場合、家庭裁判所で「検認」という手続が必要となりますので、速やかにその申立てをします。
・公正証書遺言を作成しているかどうかは、全国の公証役場の遺言検索システムで検索可能です。

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ステップ2:短期の重要期限(〜3ヶ月以内):相続の意思決定

相続人には、故人の残した財産を「受け継ぐか、受け継がないか」を決定する、重要な期限が設けられています。

【やるべきことリスト(期限に注意!)】
⑴ 相続放棄・限定承認の検討(死亡を知った日から3か月以内)
・もし、借金などのマイナスの財産がプラスの財産を明らかに上回る場合は、死亡を知った日から3か月以内に、家庭裁判所に相続放棄を申し立てます。
・この3か月の期限を過ぎると、借金も含めてすべて受け継ぐ「単純承認」をしたと見なされてしまいます。

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ステップ3:遺産の分け方の決定(期限はないが早めに。特に「配偶者の税額の軽減」制度を利用する場合)

相続人全員で、財産をどのように分けるかを話し合う「遺産分割協議」を行います。
遺産分割協議をいつまでに行わなければならないという期限はありませんが、早めに行うことが望ましいと言えます。
特に、相続税の「配偶者の税額の軽減」制度については、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算され、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象にならないことから、この制度を利用する場合は手続を急ぐ必要があります。

【やるべきことリスト】
⑴ 遺産分割協議の実施
・相続人全員が参加し、財産の分け方について話し合います。全員の同意が必要です。
・この協議が長期化すると、その後の手続や税金申告に影響が出ます。
⑵ 遺産分割協議書の作成
・話し合いがまとまったら、その内容を明確に記した遺産分割協議書を作成します。
・相続人全員の実印を押し、印鑑証明書を添付します。この書類は、後の名義変更や税金申告で必要になります。
⑶ 遺産の名義変更等
・遺産分割協議書が完成したら、その内容に従い、不動産の名義変更や、預金の名義変更などを行います。

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ステップ4:相続税の申告・納税(〜10ヶ月以内)

死亡を知った日から10か月以内に、相続税の申告・納税が必要です。
ステップ3の遺産分割協議が成立した後に申告・納税をすることが望ましいですが、仮に遺産分割協議が成立していなくても、相続税の申告期限が延びることはないため、必ず10か月以内に申告・納税をする必要があります。

【やるべきことリスト(期限厳守!)】
⑴ 相続税の申告と納税(死亡を知った日の翌日から10か月以内)
・遺産総額が基礎控除額(コラム4参照)を超えている場合は、税務署に申告・納税を行います。
・納税期限が10か月と短いため、弁護士や税理士と連携して速やかに手続を進める必要があります。
・期限に遅れると、加算税や延滞税の対象となります。
・遺産分割協議前に相続税の申告・納税を行い、後に成立した遺産分割によると相続税の額が変わる場合は、修正申告や更正の請求で対応することになります。

弁護士 今里 晋也

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